産経新聞 9月26日(木)7時55分配信
厚生労働省は25日、現在は一律1割となっている介護保険利用時の自己負担割合を、一定の年収以上の人は2割に引き上げる案を社会保障審議会介護保険部会に提示した。65歳以上の高齢者の5人に1人が該当するが、介護サービスを利用しない人も多く、影響は40万~50万人にとどまる見込み。来年の通常国会に提出し、平成27年度からの実施を目指す。
見直し案では、収入が年金だけの単身者では、年収が「280万円以上」と「290万円以上」の2案を、2割負担に引き上げる基準として示した。基礎年金のみを受給する妻がいる夫婦では、「359万円以上」と「369万円以上」の2案。ただ、夫が2割負担でも、収入が基準以下の妻は1割となる。
自己負担額が引き上げられれば、12年の介護保険制度創設以来初めて。厚労省の試算では、在宅サービスの自己負担の平均月額は、要介護1なら7700円から1万5400円に、要介護2なら1万円から2万円になる。
また、特別養護老人ホームなどに入所する低所得者の食費や居住費を補助する「補足給付」の縮小案も提示。支払い能力に応じた負担とするため、預貯金や保有する有価証券が単身で1千万円以上、夫婦で2千万円以上あれば、所得は低くても給付対象から外す。
固定資産税の評価額が2千万円以上の不動産の所有者も対象外とし、希望があれば不動産を担保に補足給付相当額を貸し付け、死後に精算する仕組みもつくる。一方で、住民税非課税の低所得世帯の高齢者の保険料は、減額幅を現在の50%から70%に広げ、負担を軽くする。