3.「精子は老化しない」という誤解
卵子は胎児の時期に700万個作られて、その後は作られません。それは、卵子を作る卵祖細胞がなくなってしまうからです。
これにひきかえ、精子を作る精粗細胞はずっと精巣に在ります。そして精子を1日一億個も作り続けるので、精子は常に若いということになっています。
それでも、精子に老化がないかといえば、そんなことはありません。先の研究報告でも、30代後半の女性では、パートナーが40歳以上の場合は妊娠率が3分の2程度になりました。
精子バンクに精子を提供するドナー男性にも年齢制限があるのが普通。その年齢は50歳くらいのことが多いようです。
精子の老化は女性に較べてとてもゆるやかなのですが、もともと精子を作る機能が弱い男性もいます。晩産化でかなり年齢が高い男性が子どもを持とうとすることも増え、精子の老化はないと言える時代ではないでしょう。
執筆者:河合 蘭