気をつけたいのは、ふとしたはずみで転倒することによる骨折。高齢者は骨折の治療に時間がかかるケースが多いだけでなく、治療期間中に筋力がさらに衰えて寝たきりの生活になってしまう危険性があるからです。実際、65歳以上の高齢者が寝たきりになる原因として挙げられるもののうち、骨折は脳出血や脳梗塞などの脳血管障害に次いで2番目の多さとなっています。
では日常生活で転ばないためには、どうすればよいのでしょう。健康に気を使っている人なら、毎日の散歩やウオーキングで体力作りに励んでいるという人もいるかもしれません。しかしここで注意しておきたいのは、散歩やウオーキングで鍛えることができる筋力は主に太股の裏側とふくらはぎが中心で、太股の表側の筋肉にはあまり効果がありません。転びにくい強い足腰を維持するには、足腰全体を鍛えなければならないのです。
そこで今回は、椅子を使った簡単なトレーニングをご紹介しましょう。やり方は簡単、椅子に深く腰掛けた状態から、まっすぐに立ち上がり、また座る。この時目線は正面を見て、立ちながら息をはいて座りながら吸う。これをゆっくり10回から15回ほど繰り返すだけです。どちらかに重心が偏ってしまわないよう、左右のバランスを意識しながら行うのがポイントです。1回あたりの負荷は弱いものですが、毎日繰り返すことで足腰全体を鍛えることができます。もちろん無理は禁物ですから、身体の状態に合わせて自分のペースでやってみてください。