女性の一生のうち、月経があるのは平均で35~40年間。毎月5日間は月経期間とすると、なんと生涯で6年半以上も月経と付き合うことになるのです。女性のカラダと切り離せない月経のしくみについて、ここでおさらいしておきましょう。
月経周期(生理周期)と内膜の変化・ホルモン分泌の変化
月経期
排卵した卵子と精子が結合し受精卵となり、子宮内膜に着床すれば妊娠成立。妊娠しなかったときは、黄体ホルモン・卵胞ホルモンともに分泌が減少。いらなくなった子宮内膜がはがれ落ち、血液といっしょに体外へ排出される(月経)。
増殖期(卵胞期)
卵胞刺激ホルモンの働きにより、卵巣にある原始卵胞のひとつが発育しはじめる。卵胞が発育するにつれ卵胞ホルモンが分泌され、子宮内膜が少しずつ厚くなっていく。
排卵期
卵胞ホルモンの分泌がピークに達すると、黄体化ホルモンが分泌され、卵胞から卵子が飛び出す(排卵)。
分泌期(黄体期)
卵子が飛び出したあとの卵胞が黄体という組織になり、黄体ホルモンが分泌される。受精卵が着床する準備として、子宮内膜はやわらかくなる。
どうして月経が起こるの
経血は子宮内膜がはがれたもの
子宮の内側は、子宮内膜というものでおおわれています。月経の周期に応じて、子宮内膜はだんだんと厚くなっていき、月経前(生理前)になると約1cmほどになります。
内膜というと、1枚の壁のようなものをイメージする人もいるかもしれませんが、じつは、細胞や毛細血管、分泌液を出す分泌腺などが含まれた組織なのです。
月経がはじまると、内膜の表面部分にあたる機能層という組織が溶けてはがれ落ち、出血が起こります。この子宮内膜がこわされるときに出る酵素の働きによって、血液を固まらせる凝固因子が破壊されてしまうのです。その結果、月経血となって、カラダの外に出てきます。しかし、出血量が多いときは、酵素の働きが不十分で、一部が凝固してしまい、これが月経困難症(→「月経痛(生理痛)」の項で紹介)の原因のひとつになります。
簡単にいうと、月経のときに出る血液は、子宮内膜がはがれて、溶けて出てきたものなのです。はがれた機能層の下には、基底層という部分があり、また次の月になると新たに組織を作り出し、内膜を厚くしていきます。このように子宮内膜がはがれて外に出て、また作り出すという毎月のサイクルは、女性ホルモンによって起こります。これが子宮のなかで毎月繰り返されているのです。
なぜ、出血が何日にもわたって続くの
月経血が一気に出てこないで、数日間かけて出てくるのは、子宮のサイズや毎月のホルモン分泌量のほか、子宮口の大きさとも関係があります。子宮の出入り口は、ストローの穴より細い、ごくごく小さな穴。だから、血液がそこを通るには、ある程度の日数がかかってしまうんですね。
月経のときの子宮は、なかの血液を押し出そうと収縮しています。まるで、絵の具の中身を出そうと、チューブをギューっとしぼり出すような感じです。
また、血液の出方には子宮の位置も関係しています。正常であれば、血液がスムーズに流れやすい角度になっていますが、子宮の位置が前や後ろに傾きすぎていると、血液が出にくくなるため、ダラダラと出血が長引いたり、中休みしてから後半になって出血量が増えるということが起こるのです。
月経周期(生理周期)とココロ・カラダの変化
順調な月経周期(生理周期)とは
月経がはじまった日から、次の月経がはじまる前日までを月経周期(生理周期)と呼びます。月経周期(生理周期)は25~38日が正常、24日以内と周期が短いものを頻発月経、39日以上あくものを稀発月経と呼びます。
また、順調な月経の期間は、3~7日間ですが、1~2日で終わってしまう場合を過短月経、8日以上続くのは、過長月経といわれます。⇒「月経不順」の項
排卵期には排卵痛が起こることも
女性のココロとカラダは、月経のサイクルにあわせて変化があらわれます。月経と月経の中間のころ、つまり排卵日をはさんだ2~3日は、もっともおりものの量が多い期間で排卵期とよんでいます。
人によっては排卵期に、排卵痛という痛みが起こることもあります。原因としては、排卵に向けて大きく成長した卵胞が腹膜を刺激したり、卵巣から卵子が飛び出たときの傷や出血などが考えられます。
がまんできる程度の痛みであれば心配はいりませんが、個人差が大きく月経痛(生理痛)と同じくらい痛むという人もいるんですよ。痛みが強い場合には、治療が必要なことも。基礎体温を測って、痛みの時期や状態を記録したうえで、婦人科を受診しましょう。また排卵の時期には、卵胞ホルモンの量が一時的に低下して中間期出血が起こることもあります。
月経がはじまる前
カラダもココロも不安になる時期です。月経前症候群(PMS)により、乳房が張る、痛む、乳首が敏感になる、頭痛、肩コリ、腰痛、下痢、ニキビ、肌荒れ、イライラ、憂うつ感、不眠、眠気、過食などの症状が起こりやすくなります。
月経中
下腹部痛、腰痛、吐き気、下痢、イライラ、頭痛、貧血、だるさ、むくみ、眠気、肌アレ、憂うつ感などが出やすい時期です。