少子化にともなって大学では学生不足が加速し、どこも学生獲得に躍起になっていますが、介護の世界では逆の現象が起きています。現在、日本全国で7,000ヵ所ある特別養護老人ホームに入居している人の数は、およそ47万人。これに対して、入居待ちの高齢者はなんと42万人もいるといわれています。つまり、本来ならば今の倍近い数の特養ホームが必要になるわけで、今もままでは入居したい人に比べて特養ホームが明らかに不足している状態です。さらに、国や自治体が負担する介護費用も膨らむ一方で、現在はおよそ8兆円かかっています。これは10年前の約2倍で、今後10年で21兆円にも達すると予想されています。
このような流れを受けて、厚生労働省では特養へ入居できる基準を見直す方針を明らかにしました。今まで基準であれば、要介護認定において要介護1~5のすべてが入居できていましたが、2015年からは原則として要介護3以上の人にしか入居資格が与えられなくなります。
確かに、より手厚い介護が必要な人が優先的に特養ホームへ入居できる環境は必要です。しかしそういった措置をとる以上は、入居の条件から外れてしまう人たちにも、在宅など他の普段で介護をやっていけるように何らかのケアが必要なのではないでしょうか。介護職員の人手不足問題とあわせて、なんらかの改革を期待したいところです。
より