関節を曲げたり伸ばしたり、体を動かしたりできるのは靱帯のおかげです。靱帯はけい椎、肩、ひじ関節、膝関節、足関節などにあり、骨と骨を結びつけたり、関節の運動を制限する働きがあります。「靱帯損傷」とはこの靱帯が何らかの原因により、損傷してしまった状態をいいます。
【靱帯損傷の症状】
靱帯損傷は靱帯が少し痛んだ程度のものなら一時的な痛みやはれが見られる程度ですが、靱帯が完全に切れてしまう「靱帯断裂」になると激しい痛みを伴います。
膝関節にある靱帯が損傷した場合は膝がガクッとなったり(膝崩れ)、ひじ関節にある靱帯が損傷した場合はひじに引っかかりを感じたり、症状はどの部位の靱帯を損傷するかによって変わってきます。通常の靱帯損傷は単独の靱帯で起こりますが、複合損傷といって複数の靱帯が同時に損傷することもあります。
【靱帯損傷の原因】
靱帯損傷は体のどの部位(靱帯)で起こるかによって原因は異なることがありますが、共通するのは靱帯に大きな力が作用することによって、部分的または完全に切れてしまうということです。また、靱帯の伸縮を繰り返す動作を長時間・長期間行うことも靱帯損傷の原因になることがあります。例えば、膝関節にある前十字靱帯の損傷は、急な方向転換や屈伸運動、ジャンプしたときの膝への衝撃が原因で起きるケースが多くなります。
【靱帯損傷の治療法】
靱帯損傷の治療というと大きな手術をイメージするかもしれませんが、症状によって必ずしも手術が必要なわけではありません。靱帯再建手術が必要なのは靱帯が完全に断裂した場合です。
軽症なら通常は2~3日ではれや痛みのピークは過ぎ、2~4週間すると痛みがひいて日常生活に復帰できます。靱帯の自然治癒が望める場合は、西洋医学よりも東洋医学のほうが回復が早まることがあります。靱帯損傷の直後に病院で診察してもらったら、鍼灸によって治療を行うといいでしょう。
【靱帯損傷に期待できる鍼灸治療の効果】
鍼灸による靱帯損傷の治療目的は靱帯損傷の回復を高めることで、靱帯損傷が完治するまでの時間を短縮することにあります。主に膝やひじなど靱帯がある部分の痛みに効くツボを刺激して治療は行われます。
環跳(かんちょう)・・・
骨盤の中にあり、股関節を曲げたときにできる足の付け根のしわの外側にあるツボ
委中(いちゅう)・・・
ひざを曲げたときにひざの裏側にできるシワの中央部分にあるツボ
曲池(きょくち)・・・
ひじを曲げたときの横じわから親指側の端にあるツボ