カーリングにおける膝関節傷害
平成23年に行なわれた「カーリング競技における障害調査」において、障害発生部位は膝関節が最も多く40.4%に発生していました。膝関節障害の特徴として
1)非利き手側の内側に多く発生
2)男女とも同程度の割合で発生、
3)練習時間、強度に関わらず発生、
4)年代が上がるほど障害が多い傾向、が認められています。
ここでは一般的にカーリングで発生する傷害を解説します。
2)半月板損傷
膝を捻ったとき急性に発生する場合と、徐々に損傷が進んでくる場合があります。
カーリングでは、デリバリー時、非利き手側の膝は深く曲げられ、足が捻られていることが多いため、膝に捩れのストレスがかかり、半月板損傷が起こります。
症状は痛みと損傷が進行すると関節に水がたまる(水腫)ことがあります。
水がたまった状態では、膝を曲げる動作に制限が出てきます。
正座ができなくなったときにはこのような状態が考えられます。
損傷部位の圧痛、捻ったときに痛みが強くなったり、音がすることにより診断されます。
診断の確定にはMRI検査が有用で、半月板の損傷形態が推測できます
4)腸脛靭帯炎
ランニングやデリバリーで膝の屈伸をくり返すことによって、腸脛靭帯が大腿外側上顆の骨隆起で摩擦をくり返します。
そのために腸脛靭帯に局所的な炎症を起こして膝の外側に痛みが発生します。
ある一定距離を走ると痛みを生じることや、下り坂を走る時に痛みを増すのが特徴です。
走行距離を急に伸ばしたり、インターパルトレーニングなどのスピード練習のやり過ぎ、道路の同じ側ばかり走ることなどに気をつけましょう。
また、予防と治療に腸脛靭帯のストレッチングは極めて有効です
)膝蓋腱炎
ランニングの着地時の地面からの衝撃は脛骨粗面より膝蓋腱、膝蓋骨、さらには大腿四等筋に伝わり吸収されます。
膝蓋腱にストレスが加わり、微小断裂が起こり、痛みが出現します。
一番大きな原因は走りすぎです。とくに中高年者では、下肢筋力の低下、柔軟性の低下、腱の弾力性の低下などの加齢による生体側の弱点があって発現します。
だいぶ前になってしまいましたが、体力には8つの要素があるということでした。
・筋力
・パワー
・スピード
・敏捷性
・柔軟性
・バランス
・全身持久性
・筋持久力
この体力が全て優れているのであれば、トップアスリートとして万能でしょう。
しかし、ある競技に専念して取り組んでいるのならば、万能である必要はないと思うのです。
万能になっている暇があったら、その競技に必要な体力を特化して伸ばしたほうが効率的です。
ただでさえ、プロ選手でもないし、トレーニングに割ける時間が非常に限られた生活をしているならば、なおさら効率性が求められると思うのです。
というわけで、効率的なトレーニングをするために、カーリングに必要な体力を知る必要があるので、考えてみました。
まずは、筋力。
これは必要かなと思います。
デリバリー・スイープ共に欠かせない体力だと思います。
摩擦のない氷上でデリバリーするには、必要最低限、自身の体重を片脚で支える筋力が必要だし、スイープもブラシに体重を乗せるわけですから、必要最低限、自身の体重を両腕で支える筋力が必要です。
それに加えて、試合は長時間かかるため、筋力を長時間発揮する必要があるので筋持久力も必要です。
また、スイーパーにとって全身持久性も必要です。
全力でスイープした後にデリバリーすることはざらですから、ちょっとやそっとじゃ息が乱れてはダメ。
さらに、氷上で滑るわけですから、バランスも必要です。
ここでいうバランスとは、身体重心のコントロールだと思います。
ここで考えたいのが、パワー。
パワーと言うのは筋力×スピードで算出されます。
これが大きければ大きな仕事をすることができます。
私は、カーリングにおいてパワーが必要なのはテイクウェイトを投げるときのみだと思うのです。
必要な場合は、筋トレで筋力を上げると同時に、発揮スピードもあげるようなトレーニングが必要だと思います。
スピードはスイープの際に上肢を速く動かしたほうが良いので、多少は必要ですね。
下肢に関しては上記の通り・・・。
柔軟性は必要なのかは疑問です。
股関節が柔らかい選手はデリバリー時に身体を低くし、ストーンと目線の位置をほぼ同じ高さにすることができます。
そのような場合、ラインを修正しやすのかなと思います。
しかし、世界的にみると、フォームはバラバラだし、視線が低いほうが良いとは言い切れなそうです。
ましてや、トップ選手でも股関節が固そうな人はいます。
そういう意味では、自身の身体に合わせたフォームを模索するほうが良いのかもしれません。
というわけで、柔軟性を上げるというよりは固くならないよう維持する程度や、怪我の予防程度で良いのかもしれません。
敏捷性はスイープ時の足運びで使うのかもしれません。
そこまで重要な要素ではないような気がします。
とまぁ、考えてみた結果、8つの体力要素は少なからず、カーリングには必要そうですが、重要さが違うのかなと。
結局のところ、自分のプレーで、何が弱いのかを分析し、その弱さを補う体力要素は何かを考え、それを向上させるトレーニングをすることが大事そうです。
という結論に至ったわけです。
まとめ「自分のプレーで、何が弱いのかを分析し、その弱さを補う体力要素は何かを考え、それを向上させるトレーニングをすることが大事」