子育て中のママにつきもののトラブルのひとつに、腱鞘炎があります。
軽い症状の人を含めれば、ほとんどのママが腱鞘炎になっていると言っても過言ではありません。
腱鞘炎になると、抱っこってつらくなりますよね。
いずれ良くなるだろうと放置してしまっては、改善するどころか悪化してしまうことも。
今回は、この腱鞘炎になってしまう原因とその症状、治療法について詳しくお話ししていきます。
腱鞘炎ってどんな病気?
腱とは、筋肉と骨をつなぐ筋のこと。
その働きによって、指を曲げたり伸ばしたりする動作が出来ます。
腱鞘とは、この腱を包む鞘のことです。
腱鞘炎は、この腱と腱鞘がこすれて炎症を起こす病気です。
炎症があるために、腱のスムーズな通りを邪魔している状態になっています。
そのため、手指を動かしたり、ものを握ろうとすると痛みが起こります。
産後に腱鞘炎になる原因は?
女性ホルモンの変化も影響
意外に思われるかもしれませんが、女性ホルモンが腱鞘炎に大きく影響しています。
女性ホルモンは、骨や筋肉、関節にも影響を与えているホルモンです。
そのため、女性は妊娠中や産後、更年期など、女性ホルモンの変動期に腱鞘炎が多く見られる傾向があります。
腱鞘の形の関係で、腱鞘炎を起こしやすい人もいます。
ですが、腱鞘炎の多くは、手の使い過ぎで起きています。
もともと女性の場合は家事で手首を使うことが多いですよね。
包丁を使ったり、フライパンを振って炒めものを作ったりすることは日常的な動作です。
この食事の支度だけ見ても、手には様々な負担がかかっています。
それに加えて、産後は慣れない育児で必要以上に手首に力を入れてしまいがち。
授乳や沐浴、おむつ替え、抱っこ…自分で思っている以上に、頻繁にそして継続的に手首を酷使しています。
産後はホルモンバランスの乱れ、そして手の酷使と、腱鞘炎を起こしやすい条件がたくさん揃っている状況なのです。
腱鞘炎には2種類ある!
ドゥ・ケルバン病
腱鞘炎には、代表的なものとして2つあります。
そのひとつがドゥ・ケルバン病です。
少し難しい病名に聞こえますが、手首の親指側に起こる腱鞘炎のことを言います。
狭窄性(きょうさくせい)腱鞘炎と呼ばれることもあります。
親指には主に、親指を伸ばす働きをする腱と、親指を広げる働きをする腱の2つの腱があります。
別の働きをするこれら2つの腱が、同じ腱鞘の中を並んで通っているために、腱や腱鞘がこすれやすいのです。
この部分に腱鞘炎が起こると、手首の親指側に痛みが起こります。
親指を内側に入れて握りこぶしを作り、手首を小指側に倒すと痛みが強くなることで診断がつきます。
ばね指
2つめの腱鞘炎が、ばね指です。
名前を聞いたことがあると言う人も多いのではないでしょうか。
このばね指は、指の屈筋腱という部位に起こる腱鞘炎です。
指を曲げたり伸ばしたりするときにひっかかりを感じます。
酷くなってくると、指を完全に伸ばすことが出来なくなります。
その状態で無理に伸ばそうとすると、“カクン”とか“パキッ”という音がするようになります。
ばね指はどの指でも見られるものですが、最も多く見られるのは利き手の親指です。
腱鞘炎の治療方法は?
腱鞘炎の治療では、安静を保つために装具やギブスで指や手首を固定することが多いです。
また、痛みや炎症を止める消炎鎮痛剤を使用します。
消炎鎮痛剤には、内服薬の他に、湿布、軟膏などがあります。
内服薬は基本的には授乳中でも問題はありませんが、気になるようであれば、湿布や塗り薬での処方をお願いしても良いでしょう。
また、腱鞘炎にはステロイド剤の注射が有効です。
ただし、ステロイド剤の注射は頻繁に行うと腱を弱くしてしまう副作用があるため、行うのは2~3回までです。
腱鞘炎の治療は、ママの状態に合わせて治療することが可能です。
自分の育児生活上ベストだと思う治療を医師に相談しましょう。