中日新聞(平成13年12月28日号)より
治療を続けても子宝に恵まれない不妊症の女性に対す鍼灸治療が、妊娠率を飛躍的に向上させる効果のあることが名古屋市瑞穂区、明生鍼灸院と愛知県豊田市、竹内病院トヨタ不妊センターの共同研究で分かった。
不妊症への鍼灸効果を、まとまった症例数による科学的データで検証した研究は初めて。
研究は、結婚後五年、不妊専門機関で二年治療しても妊娠しない不妊症患者で、体外受精など高度な生殖医療を三回以上受けても妊娠できず、子宮の内膜が薄いことが原因と推定される五十七人(平均年齢三十四・七歳)が対象。
患者たちに鍼灸治療を半年以上続けたところ、三十一人の内膜が厚さ六ミリ以上など妊娠への一定基準に改善。うち十四人(同三十三・七歳)が、冷凍保存した自分の胚を移植して妊娠することができた。
このほか、不妊の原因が分からず、月経異常や頭痛、肩こりなど、健康に問題がないのに感じる体の不調(不定愁訴)がみられる患者二十四人(同三十五・二歳)への鍼灸治療でも、七人(同三十六・一歳)が妊娠した。
鍼灸治療が子宮の血流を活性化させ内膜の改善に至った可能性があるほか、妊娠より先に不定愁訴が治った例が八割もあった。
高度な生殖医療の妊娠率は20%-30%。これを三回受けた後は妊娠率が著しく下がるとされる。
流産を二度経験し、鍼灸治療で内膜が整い結婚六年目の今冬、出産した愛知県内の女性(四十一)は「排卵誘発剤などの連続使用で体調を崩し、身も心も限界だった。ゆっくり治す東洋医学で気持ちがほぐれた」と振り返る。
竹内病院センターの越知所長は「西洋医学を建物の補修に例えるなら、東洋医学は土台の改良工事。むやみに薬を増やすのでなく、自然の治癒力を引き出す東洋医学の知恵が役立てば」と話す。
2006年デンマークからの発表(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より
胚移植日に鍼灸治療を行なうと体外受精、顕微授精の妊娠率を上昇させる273例を研究対象とし、鍼を行なわない組では22%の妊娠、鍼治療組では36%の妊娠率となり、鍼灸治療を行なった組に有意に妊娠率が高くなった。
2006年ドイツからの発表(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より
体外受精と顕微授精例の黄体期に鍼治療を行なうと妊娠率が有意に高かった225例を対象としたもの。
鍼灸を行なわなかった組では13.8%、行なった組では28.4%の妊娠率で、鍼灸治療組の妊娠率が高くなった。
2006年オーストラリアからの報告(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より
体外受精例に鍼治療を3回行い、鍼治療組に妊娠率が高くなった例228例を対象に、hMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後に鍼を行なった。行なわない組では23%、鍼治療組では31%の妊娠率で、有意差はなかったが、鍼治療組に妊娠率が高くなった。
2008年アメリカからの報告(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より
British Medical Journal 2008年 アメリカからの発表(メリーランド大学、ジョージタウン大学産婦人科) 過去の7件の臨床試験のデータをまとめた。はり療法を併用した胚移植は、はり治療を受けた群の臨床的妊娠は1.65倍高く、継続中の妊娠は 1.87倍、生児分娩率は1.91高く、はり治療は妊娠率の高さと関連していた。
2002年4月30日 夕刊讀賣新聞の記事(ワシントン 館林 牧子)
体外受精の前後に、女性の体をリラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、ドイツと中国の研究チームがまとめた。
米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精をうける女性百六十人を二つのグループに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハリ治療を実施。
もう一方には、ハリ治療をせず通常の体外受精を行った。その結果、ハリ治療グループの妊娠率が42.5%に上がり、通常治療の26.3%を大幅に上回った。
体外受精のの妊娠率は、高くても三割程度とされた。繰返し治療を受けるカップルの精神的、
金銭的な負担が問題になっている。妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会の
サンドラ・カーソン次期会長は「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性があると注目している。
「中国国内の不妊症の針灸治療の報道」(2002年4月18日)
「武漢電」昨日、ドイツの研究チームによる中国武漢「同済病院」との合同研究の結果が発表された。
針灸治療により体外受精妊娠率が50%近く向上するというもので、『妊娠と不妊症』という医学雑誌に掲載された。専門家によると針灸治療により子宮の筋肉の緊張がほぐされ、
循環が改善されるためではないかという。ただし、そうすることによってなぜ妊娠率がアップするかははっきり分からない。今後はもっと研究を進める必要があるという。
研究チームは中国伝統医学に基づいて子宮の筋肉をほぐすツボを使って、針灸治療を行う。
また、ホルモンや自律神経の調整をすることによって、受精卵が子宮に着床しやすくなるという。
研究チームは鍼灸で脾経、胃経、腸経などの経絡を使って、子宮の気、血の循環がよくなり、
妊娠率が向上しているのではないかとみている。
『新明日報』より
1980年代に「中国江西中医大学」「中国上海第一医科大学」は生理不順の患者に対して、
鍼灸治療を行う過程の中で、排卵促進率は54.4%まで上がると分かった、生理不順患者の中
不妊症患者が妊娠したと報告した。動物に実験で関元、気海、三陰交に電気針、2時間後に黄体生成ホルモンが最高値に達し、排卵反応も観察された。
研究結果では、鍼灸は不妊症患者の生殖内分泌機能に対する影響は大きく、黄体生成ホルモンに対する脳下垂体の反応を増強させ、排卵の促進に繋がった。
脳下垂体の反応が増強した結果、子宮内膜の厚みも増加した。
また、鍼灸の免疫増強の働きで、免疫抗体が卵管の炎症、癒着などを修復し、卵管の開通につながった。
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